春になりました

2015.3.20

東京にお花見に行ってきた。

上野の桜を見るのはこれが2回目だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1回目に見たのは2013年の春。やっとニートを脱出した時だ。

普段は滅多に1人で東京に行くことは無いが、

大学の時にお世話になった方が上野の美術館と

日暮里のギャラリーで展示するということで、

私はその人のファンなのでいそいそと行った。

昼間の上野公園を歩くと、「錦絵の世界に入ったみたいだ」とうっとりと

とても幸せな気分になったのを覚えている。

正式にどのくらい描かれているのか分からないけれど、

明治時代の錦絵には上野の桜がたくさん描かれているイメージがある。

私はその時代の錦絵が好きだったので、描かれている世界に本当に

入ってしまったかのような気分になった。ソメイヨシノの寿命が60年くらいと言われているらしいから、全然違う桜なのだろうが。

上野から歩いて日暮里のギャラリーまで行こうとして、30~40分くらいで

行けると書いてあったのに迷い迷って2時間くらい

ウロウロして、桜がいっぱい咲いている墓地に入り込み、

疲れているのにきれいなエリアに来てしまい、きれいな桜を見られる嬉しさと疲労感を覚えている。

-----------------------------------------------------------------------------

そしてそこから2年が経ち、今回は意思をもってお墓の桜のエリアに行ってきた。

迷い込んだのは谷中霊園で、有名なお花見スポットだと知った。

2年前と同じように満開の桜はきれいだけれど、私は落ち着いて桜を見ていて、

あのボウッとした気持ちよさは起こらなかった。

谷中から根津のほうを通って上野に行ったら、歩くには遠くて後悔して、

普通に上野から日暮里に着いてもけっこう疲れてただろうなと気付いた。

上野公園でも2年前の多幸感は起こらなかった。

多幸感は感情がマイナスに振れているときの方が起きる気がする。

同じような幸せな気分を2回分覚えている。

1回目は大学4年の秋に奈良に行った時だ。卒論がちっとも進まないが、友達に誘われて、

研究対象を見に行く彼女にくっついて日帰りの忙しい奈良旅行をした。

紅葉がきれいで、気温がちょうどよく、興福寺の近くを歩いているときに

桃源郷だ…」となぜか頭には平安時代の貴族を浮かべながらウットリした。

私はその後も卒論がちっとも進まなく、大学生活は暗めに終わった。

もう一回の幸せな気分も大学四年で、2月くらいだったと思う。

私は結局中途半端な卒論を提出し、卒業後の進路も真っ白で、親からは就活をがんばれと迫られ、

けっこうげっそりな気分だった。

その日は雪が新しく降っていた。家には食べるものが無く、めんどくさいめんどくさいと

たぶん一日中寝ていたんだろうけど、夜になってからスーパーに出かけた。

北陸の雪は、水分が多くて重いというけれど、降り積もったばかりの雪はまだ

サラサラで、私は長靴で雪を蹴散らしながら公園の横の道を通った。

おじさんが柴犬を連れながら雪かきをしていて、犬は私に近づいてきて長靴のにおいを

クンクン嗅いできた。

その時のことを思い出しても、多幸感に包まれる。サラサラの雪と、犬と。

年末にやっと大学時代のものを少し整理したら、その頃撮った写真が出てきて、

色は青白いし(昼夜逆転していた)、表情は困ったような笑顔だし、

見ていてかわいそうになってしまった。

弱っているときの方が感受性が豊かになるというのは確かだろう。

ニート時代からツイッターをやっているけれど、ニート時代の方が

内容が面白かったというのは確信している。

---------------------------------------------------------------------

今回お花見をしに行った東京では、友達の家に泊まらせてもらったのだが、

行くのが夜中になってしまった。山手線はだいぶ空いていたが、

品川駅で飲み会帰りや仕事帰りと思しき

会社員の人たちがドッと入ってきて、一気に車内が賑わしくなった。

そしたら急に自分の現状が不安になってしまって、

自分でコンプレックスの大きさにびっくりした。

大学三年の9月に、高校の時の友達に久しぶりに会うことになったのだが、

品川駅が大学の近くだということで品川駅で待ち合わせた。

今は大学三年の3月くらいまで就活解禁が伸びているのだろうが、

私の時は確か6月くらいには就活サイトのCMがばんばん流されて、12月あたりから

本格化していた気がする。

私は就職する気ではいたが実際にはまだ動き出しておらず、焦っていた。

品川駅にちゃんと降りるのは初めてで、一流企業の集まるオフィス街だとは知らず、

自分が知っている会社の名前が書かれた大きなビルがたくさんあるのに驚き、

友だちが来るまで広場でスーツ姿の人たちを見て、すごいなすごいなと

思ってた気がする。

だから品川駅を使うサラリーマンに対して、自分がつかめなかった普通の会社員、

そしてその中のエリートが集まっている、というイメージができてしまい、

じりじりしているんだと思う。

この時期は就活スーツで歩いている子が多く、私は結局そうやって真面目に歩き回ることもせず、

よくわかんないまま就活の真似事をちょっとしていたら終わってしまったんだなという、

またしても自分の中途半端さに嘆いて悲しくなってしまうんだけれど、

この感情はいつ終わるのだろう。

でも桜を見ても多幸感が無かったから、2年前よりか心が安定してるのか。

地元の駅に着いて駐車場まで歩く間、不安が襲ってきて少し涙が出たが、

それが現実と向き合っている証拠でもあるような気がした。

----------------------------------------------------------------

2年前に目当てで行った上野の美術館と日暮里のギャラリーで展示していた方は、

今年も個展をし、それが美術雑誌でも取り上げられていて、

すごいなと感じた。